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季語の世界：寒椿
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著者名：増田守 | 発行所：ふらんす堂 | 発行日：2011年4月29日 |
自選句:20句
月乗せて月を落とせる水車かな 羊水のなか行くごとく月の舟 月仰ぐ一人に一つ喉仏 深海をさすらふやうに秋の暮 空港の灯りて雪の奈落かな 燃え尽きて地図なき旅へ寒の鵙 少年は都会の闇へ誘蛾燈 吾とゐて夜を眠らぬ金魚かな 冷蔵庫開けて一人の部屋照らす 五線譜にのらぬ音あり冬の山 火の番の歩数を越ゆる星の数 汗の手のもどかしニトログリセン 書き留めてしまへば過去よ木の実降る 良薬に致死量のあり雪の嵩 草の花寝釈迦のやうにホームレス 里山の枯れゆく音に遊びけり 草枯れて虫の墓標となりにけり 生還のこの身つつめる初日かな 茶の花やこころの奥の難破船 杖となる人と立ちをり大旦 | ]
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著者名：増田守 | 発行所：株式会社 角川書店 | 発行日：2012年12月25日 |
自選句:12句
つばめ来る家に扉の一つづつ スポンジの水吸ふ速さ鳥帰る 死してなほ兵の整列豆の花 緑の夜二人のハヤシライスかな 芥子の花白し原発依存症 大鎌の一振り虹の消えたにけり いぢめなき日のあらばこそ夏休 真実は一つ豌豆の実は二つ ふるさとの風のざらざら吾亦紅 π粒子載りし銀河の設計図 海といふブラックホール雪しまく <> 生も死も神の手のなか霜の花 |
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著者名：増田守 | 発行所:株式会社KADOKAWA | 発行日：2015年3月25日 | 自選句:12句 |
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著者名：増田守 | 発行所:一般財団法人 角川文化振興財団 | 発行日：2016年7月25日 |
自選句:15句
目刺焼く明日のスピーチさらひつつ 空き部屋のひとつの咳を訝しむ 卒業やこつと音ある受精卵 風邪四日優先席へ身を落とす 勾玉の曲がりのかたち根切り虫 土となるものへの挽歌鉦叩 春闘の余白非正規労働者 原発の青き呪縛や螢烏賊 冬帽子染みのひとつは父のもの 人間の毀れ始めし桃の花 あやふやな自衛の定義開戦日 太古より母は勁草大旦 少しづつ綺麗に忘れ芥子の花 かすかなる時空の歪み春の風邪 原発は無限の虚数寒の星 |